2012-3-3_11:59_岩手県陸前高田市
前回の記事(2012年5月25日)で被災した自治体に分配される復興交付金と使い勝手について書いたわけですが、同じ日に復興庁から第2回目の復興交付金を申請自治体に交付するとの発表がありましたので(勉強不足のため同じタイミングになったのは偶然です(^^;))、自分の再確認も兼ねて復興交付金についてもう少し詳しく紹介したいと思います。
「復興交付金とは」
2011年12月7日に成立した「東日本大震災復興特別区域法」に基づき、東日本大震災より相当数の住宅、公共施設その他の施設の減失又は損失等の著しい被害を受けた地域(11道県、227市町村)の円滑かつ迅速な復興のために実施する事業(基幹事業、効果促進事業)に対し交付されるものです。
2011年度に成立した第3次補正予算で1兆5,612億円、2012年度の政府予算で2,868億円など、総額1兆9,307億円となっています。
財源としては通常の赤字国債とは別の「復興債」を発行、日本たばこ産業(JT)株など国有財産売却による税外収入、所得税や法人税など「基幹税」を中心とした臨時増税で償還する予定となっています。
復興債は現時点で約12・5兆円の発行を見込んでいます。
これらの他、東日本大震災復興宝くじ等から捻出したり、休眠預金を活用を検討したりしていますが、政府や各省庁のいろいろな無駄を出来る限り削ってほしいものです。
ちなみに日本赤十字社、中央共同募金会、日本放送協会、NHK厚生文化事業団の4社へ寄せられた義捐金3,553億円の約9割は被災者の方々へ配布済みだそうです(2012年4月27日現在、厚生労働省調べ)基幹事業とは被災自治体の復興地域づくりに必要なハード事業で、5省(文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省、環境省)にまたがる40の事業のことで、道路整備事業、土地区画整理事業、防災集団移転促進事業、農業農村整備事業、漁業集落整備事業、学校整備事業、病院耐震化事業、浄化槽整備事業などがあります。
省庁にまたがった事案なので手続きを簡素化迅速化することが復興庁の役割の1つです。
「効果促進事業(関連事業)とは」
基幹事業に関連して自主的かつ主体的に自治体が実施する事業のことで、使途の自由度が高く、自治体の実情に合わせて作成、実施できる。
ハード・ソフト事業ニーズに対応したもの(基幹事業費の35%が上限)復興交付金により、地方自治体の復興に関わる負担が軽減されます。
機関事業に係る地方負担分の50%を追加的に国庫が補助し、また地方交付税の加算により手当てされます。そのため地方自治体の負担はゼロになります。
2012-3-31_12:12_宮城県気仙沼市
2011年3月2日に発表された1回目の復興交付金では自治体が要望した3,053億円に対して2,509億円と、6割の配分に留まりました。
しかし今回は4月に締め切った要望の約1.5倍の配分となりました。
2,139億円の要望に対2,612億円が交付されました。最高は宮城県の1418億円で、岩手県が799億円、福島県が306億円となっています。
要望額に対し宮城県で8割、岩手で4割、福島で2割上回っていますが、これは集団移転・高台移転や災害公営住宅の整備などについて、来年度以降の予算を前倒しで配分したことによります。
集団移転や災害公営住宅事業に多くの予算が付いたことで、宮城県では石巻市や気仙沼市など8市町、岩手県では釜石市や陸前高田市など6市町、福島県では新地町などで集団移転事業が早々に着工することになりました。
2012-5-19_13:24_宮城県七ヶ浜町
今回の配分が多くなった理由の1つは、効果促進事業等の一定割合の一括配分があったためです。
防災集団移転促進事業、市街地再開発事業などの基幹事業費の20%を一括配分し、例えば生活・健康相談、巡回活動支援(調査費)、被災者コミュニティバス運行支援(事業費)等の被災者支援事業、市街地整備のコーディネート費(調査費)や専門家派遣、合意形成支援(調査費)等の市街地整備の推進に必要な調査事業などに使うことができます。
しかし効果促進事業は自治体がある程度自由に使えると言っても基幹事業に関係していなくてはならず、申請が必要になります。
自治体が独自に、それぞれの実態に合わせた復興を進めるためには、この効果促進事業費をより多く配分してもらい、少しでも「自由に」使えるような交付金になることが必要なのではないかと思います。
2012-3-6_14:27_福島県飯舘村
/* ----- 東北 – 2012-3-3_11:59 – Nikon D700 ----- */
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